キャンティ
ガラガラ…


「失礼します。」


俺が可奈の病室で一人、花瓶の水の入れ替えをしていると、突然、見知らぬ女性が扉を開けた。


「きゃっ!」


案の定、俺の顔を見るなりその女性は飛び上がった。


「す、すいません。」


なぜか俺は謝り、タオルで自分の顔を覆った。女性は少し冷静さを取り戻したのか、


「あ、あの、どちらさまですか?」


と言った。


こっちのセリフだ。


「あ、俺は可奈ちゃんの友達で…渡辺と言います。あなたは?」


俺が言うと、女性は怪訝そうな顔をして


「私は森田可奈の母親です。」


と言うのだ。


「あ、ああ…そうでしたか…。可奈…ちゃんは今診察に行ってましてね、すぐ戻ると思いますよ。」


俺は半信半疑で女性に椅子を用意した。


見た目は30代後半といったところだろうか。


白いスーツを着ていて顔立ちの整ったスレンダー美人だった。

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