キャンティ
ガサガサ ガサガサ…


病院を出るとすぐに、俺の持っていた紙袋の中でもぞもぞと動く物を感じた。


見ると、ポテチが入っていた。


「あれ?いつの間に入ったんだ?お前。」


困ったな。可奈に返さないと。


俺は病院に引き返そうとした。しかしなんとなく躊躇してしまった。


そこで、仕方なく病院近くの公園のベンチでポテチと2人、黄昏た。


「俺は無力だな。」


そう言って溜め息をつく俺の顔をポテチは見ている。

「可奈は…目が治ったら俺の顔、見るんだよな。」


うつむく俺には自分の汚れた手が夕日に照らされオレンジ色になっていくのさえ儚く見えた。


「怖くて泣きだすんだろうな。きっと。」


俺の肩が震える。


可奈が光を取り戻す時…、


それは間違いなく俺と可奈との別れを意味する。


可奈は母親と一緒に暮らせる。必ず幸せになれるはずだ。
これから彼女にとっては申し分のない人生が待っている。


俺が1番望んでいたことじゃないか…


なのに…


「なんでこんなに涙が出るんだろうな。ポテチ。」

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