キャンティ
滝のようだった。


滝のように溢れる涙を俺は止めることができなかった。


ポテチはそんな俺に静かにティッシュを差し出した。


俺はポテチのティッシュを受け取らなかった。


「これは、可奈のために取っておいてくれ。」


俺が言うと、ポテチは


「気をつかわなけれバ。」


と言って10枚くらい差し出してきた。


「ふっ…おもしろいな。お前は。」


「バ。」


俺はポテチを抱きしめる。

「お前に気を遣ってるわけじゃないよ。」


そう言って俺はまた泣いた。


公園の遊具達がオレンジ色からブルーになって子供達の温もりがゆっくりと薄れゆくまで俺は泣き続けた。


俺が彼女のために流す最初で最後の涙だった。
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