キャンティ
ん?


ふと、私は店の奥に置いてあるぬいぐるみに目がいった。


「まぁ。かわいいぬいぐるみ。」


私は思わず微笑んだ。


「ああ。これですか?」


マスターがぬいぐるみを抱き上げる。


「この子はね、ティッシュボックスのカバーなんですよ。」


「へぇ。ティッシュを入れる物なんですか?触ってもいいですか?」


「どうぞ。」


私はマスターからそれを受け取った。


その瞬間、


「あ、あれ?」


私は手に伝わるその温もりにものすごい懐かしさを感じた。


「この子…」


「おや、ご存じですか?ポテチを。」


マスターの言葉に、私の記憶が一気によみがえってきた。


「ポテチ。あ…ああ。ポテチ…あなたが…。」


私は体中が震えた。


「どうぞ。」


マスターが私の前にハンカチを置いた。


気が付くと、私の目からはとめどなく涙が溢れだしていた。
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