キャンティ
「この子をあなたにお貸ししましょう。」


「え?」


僕は戸惑った。


「好きな時に返していただければ結構です。きっとあなたのお役に立つと思いますよ。」


そう言ってマスターは笑った。


僕は断らなかった。


マスターの親切心を素直に受け入れようと思った。


そして、ポテチと言う名のティッシュボックスカバーを片手に店を出た。


少し歩きだした僕はふと気になり、ポケットを探った。
さっき拝借したマッチが出てきた。


「喫茶店、キャンティ…か…。」
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