キャンティ

電話

ぴく…


「?」




どのくらい時間が経っただろう。


部屋のベットで昼寝をしていた僕は、足下でふさふさと動くものを感じ、目が覚めた。


見ると、寝ていた僕の足の下で何かがジタバタと動いている。


「わ!!!」


僕は思わずそれを蹴飛ばした。
コロン…床に転がる。


「な、なんだ!?」


僕は目をこすり、その動いている物体を見つめた。


あ!


不機嫌そうにこちらを見ている物体は間違いなく昨日立ち寄った喫茶店のマスターに渡されたティッシュボックスのカバーだった。


「う、動くのか!?これ!」


僕はその物体からじりじりと少しずつ遠ざかり、トイレに駆け込んだ。


聞いてない。聞いてないぞそんなこと。これは夢だ。落ち着け。落ち着くんだ。


僕は、何度も何度もそう自分に言い聞かせて、えい!とトイレのドアを開けた。


「わ!!」


驚いたことにすぐ足元にやつはいた。
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