イチゴの気持ち ~イチゴ達のラブストーリィ~
「まぁ、隆ちゃんいらっしゃい」
お母さんの妙にハイテンションな声。
「すみません。急に来て…」
「何言ってるの、待ってたわよ。そう、いつ来るかいつ来るかって、麻衣も楽しみにしてたのよ。えっ、この人…彼女?隆ちゃんやるわねぇ…こんなかわいい彼女を連れてきてくれたなんてうれしいわよ」
「おばちゃん、ありがと。こいつが俺の過ごした夏を羨ましがってさ…こいつんちの田舎海ないいだ、だから…」
「大歓迎よ、隆ちゃんは我が家の息子ともいえるんだからさぁ、その息子が彼女を連れてきたのよ。ねぇ、もう海は見た?麻衣、まい。あの子どこに行っちゃったのかしら…隆ちゃん、来たわよぉ」
あんなタカト兄の顔なんか思い出したくもない。
彼女に気を使ってるのか、彼女に話しかけてばかりいる。
私の家だよ。なんで彼女なんて連れてくるの?
私は黙って家を出て、自転車で海へと向かった。