イチゴの気持ち ~イチゴ達のラブストーリィ~


それは全部私との思い出。


楽しい思い出のはずなのに、タカト兄が話すたび思い出が消えていくような気がした。


お願い、もう美咲さんに話さないで。私との、二人の思い出なのに。


タカト兄が話すことで、その思い出の場に美咲さんがいるような気持ちになって、苦しく
て仕方がなかった。


「…そうだったよな、それで、こいつが泣き出して、俺がおぶって帰ったんだよな。なっ、おい、麻衣、聞いてんのか」


タカト兄の話も聞かず、台所に行き冷蔵庫からジュースを取り出した。


「隆ちゃん、話はそれくらいにして、支度しなさいよ。麻衣、あんたも手伝いなさいよ」


「支度って、おばちゃん、何?」


タカト兄が大きな声で言った。
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