少年殺人鬼(6p短編)
『死にたい』
また、由加からのメールが届く。
電話を無視していたら、メールが来るようになった。
俺を責めるものではなく、こんな自分は捨てられて当然、といった、ひたすら己を卑下する内容だ。
どういう思考回路でそうなるのか。
そんな独り言を俺に聞かせてどうしたいのか。
ペースは大体、一日に一回。
メールマガジンみたいなもの。
こんなもので気が済むなら好きにすれば良いと、放っておいた。
半月後、由加は本当に死んだ。
自殺だった。
それから、俺には、もう居ない筈の彼女が見える。
最初は恨んで出てきたのだと腰を抜かした。
しかし、彼女の表情は穏やかだった。
講義中は生徒のように大人しく隣に座り、飯を食っている時は向かいでニコニコ俺を見ている。
風呂には付いてこず、部屋へ戻ると、ベッドの端で座って待っていた。
着替えを始めると、部屋の隅へ行きこちらに背を向ける。
ある日彼女が、身ぶり手振りで必死に何かを伝えようとしてきた。
意味が分からず無視して大学へ行ったら、最初に会った友人に笑われる。
後頭部に酷い寝癖がついていたそうだ。