少年殺人鬼(6p短編)
 独り暮らしのアパートに由加と二人、引きこもる毎日。
 それでも腹は減り、渋々近くのコンビニへ行った帰りだった。


 小学生? 中学生くらいか?

 夜の闇に融けそうな、黒いパーカーのフードを目深に被った少年が、帰り道を塞いでいた。


「ああ、アンタ、憑かれちゃってるね」


 疲れてる?
 何の話だ?
 確かに最近あまり外に出なくなったから、運動不足で体は重いが。

 こちらの都合等聞きもせず、「ちょっと待ってね」と言うと、ポケットから黒い革手袋を出す。


「直接触っちゃいけないんだ、そういう決まりだから」


 意味が分からない。
 こんな人気のない夜道で子供が一人、何をしているのか。

 そう咎めようかと思案していたら、手袋をはめた少年が、こちらへ向かって歩き出す。
 思わず身構えてしまった俺を素通りし、安堵したのも束の間。
 少年は、目標の獲物を既に捕まえた後だった。
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