好きと言わせて
数分して光がわらびもちを手に持ち、帰ってきた。



「ちゃんと宮島の分のわらびもち、買って来てやったぞ。」



そういって袋からわらびもちを取り出し、わたしに差し出した。



「あ、ありがとう。」



わたしはわらびもちを受け取った。



ゴムでふたが開かないようにされているプラスチックの容器の中に、きな粉がかかっているわらびもち。



わたしはゴムを取り外し、プラスチックの容器の隅にあった爪楊枝をわらびもちに刺すと、口の中に入れた。



きな粉の独特の風味と、わらびもちのさりげない甘さが口の中に広がる。



「うん、おいしい。
わらびもち奢ってくれてありがとう、藤島くん。」


わたしは微笑みながら光を見た。



「なっ、誰も奢るとは言ってねーし。
ま、今回はしょうがないから奢りってことにしておいてやる。
それにしても旨いな、わらびもち。」



そしてわらびもちを食べながら他愛のない話をした。



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