君の恋~夏の日記~
『私は君に恋して良かったのかな』
『恋をして、祐吾といれなくなるくらいなら、祐吾に恋はできないね』
たった、十ページ。
それだけなのに、
二人の恋はこんなに脆くて、淡くて。
俺の目には涙が溢れていた。
「入るわよー」
いきなり、おばさんの声が聞こえたから、俺はすぐに、手で目を拭い、俺の鞄に急いで本を隠した。
「一樹くん、コーラは飲めたかしら?」
「あ、はい。大好きです」
俺がそう言うと、ちらっとおばさんは樹里に目を向けた。
「そう、良かったわ」