俺様執事に全てを奪われてⅡ
わたしは眉間にしわを寄せると、元の顔を黙って見つめた

「気分が悪い。俺は乙葉以外は抱かない。それなのに、乙葉は俺が浮気すると思っている。一気にやる気が失ったよ」

元がぷいっとそっぽを向いて、布団の中に潜った

「やる気?」

「ああ。帰ってきてから、乙葉と一緒に風呂入って、仕事の続きをしようと思ってた。その力が一気に失せた。何もやる気がでねえ。だから寝るんだよ」

元の言葉に、わたしは何も言えなくなる

浮気をするのではないかって不安に思っていたのは事実だ

元は格好良い

見た目のルックスも、性格も魅力がある

元が布団から顔を出すと、わたしの黒髪を指に絡ませてぐいっと引っ張った

「いたっ」

「なんか言い訳しろよ」

「言い訳?」

「俺の機嫌を直そうと、必死になれよ」

「勝手に怒ったのはそっちだろ? 雑誌を見てただけで、そこまで怒るなんて思わない」

「乙葉の腹ん中に俺の子がいるんだ。幸せすぎて、浮気なんてしない」

元が長い手を出して、わたしのお腹を優しく撫でた

「…わかったよ」

「いや、わかってねえ」

元はがばっと身体を起こすと、わたしをベッドに押し倒した

「ちょ…何するんだっ」

「俺の身体が、誰のモノなのか、乙葉の身体に刻んでやるんだよ」

「はあ?」

わたしは、元に手首を掴まれると激しいキスをされた

元の熱い熱が、唇から伝わってくる

「酔ってるのか?」

「酔うほど、飲んでねえよ」

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