俺様執事に全てを奪われてⅡ
元がシャワーを浴びている音を聞きながら、わたしは気だるい身体をベッドの中で回転させた

久々に、元の動きが激しかった

シャワーの水の音が止まるとすぐにバタンとドアを開く音がした

タオル一枚を肩に引っ掛けて、元が出てきた

まだ濡れた身体を拭きもせず、元がベッドに座るとわたしの頭をゆっくりと撫でてきた

「動けるか?」

「無理」

「俺は仕事に戻る。2時間したら、部屋に戻るから、乙葉はゆっくりしてるといい」

元がにっこりと微笑むと、立ち上がった

5分もせずに、執事用のスーツに着替えた元は、「行ってくる」とだけ声をかけて部屋を後にした

「まったく…一人で元気になりやがって! 『何もやる気が出ねえ』とか言ってたのはどこのどいつだよ」

わたしは元の枕をぼすっと叩くと、起き上がった

机の上に置きっぱなしになっている雑誌に視線を送った

雑誌を見ていただけだぞ

確かに、浮気するかもしれないとか不安になってけど…本気で思ってたわけじゃない

なのに、あの不機嫌さはなんだ!

一人でぷんぷん怒って、拗ねて…やる気が失せたとかってわけのわからないことを言いだして

ベッドの上で、好き放題に暴れて

「何なんだよ、まったく」

わたしはまた元の枕を殴った

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