俺様執事に全てを奪われてⅡ
「私ね、女ん子が欲しいの」

母が私のお腹を撫でてきた

「はあ?」

「女の子よ
一緒にお買いものとかしたいでしょ?」

「俺は両方欲しいですね
すぐに二人目を作らないと」

「あ! そうねえ
すぐに作って頂戴よ
育児は私やメイドが頑張るから、あなたたちは子作りに励みなさい」

「そう言ってもらえると嬉しいです」

どこが?

私は母子手帳を手に持ったまま、二人の馬鹿な会話に背を向けた

なんて会話をしてるんだ

痛い思いをしてこの世に、子どもを産み落とすのはわたしだぞ?

やっとつわりから解放されてきたっていうのに、この二人の会話を聞いているとまた吐き気が戻ってきそうだ

「お義父さんは、日本に戻ってきておられるんですか?」

元が会話を打ち切って、質問をしてきた

「いいえ、帰ってきてないわ
すんごい会いたがってたんだけどねえ
仕事が終わらないって、泣いてたわ」

お父さん、こっちに来れなかったんだ

「そう言えば、学生には産休ってあるの?」

せっかく元が話をそらしたのに、また子供の話に戻ってきた

「いえ、ないです」

「じゃあ、退学する?」

「しない!」

私はお母さんに、振りむいて答えるとすたすたと自分の部屋に戻った
< 2 / 29 >

この作品をシェア

pagetop