俺様執事に全てを奪われてⅡ
せっかく楽しい学生生活になったのに、退学なんてしたくない

ぎりぎりまで学校に通って、それから産んで…戻るんだ

出産予定は6月下旬だ

出産で入院しても5日で退院できるから、別に平気だろ?

6月ならすぐに夏休みに入るし、大丈夫だ

退学しなくても、子育ても高校もうまくいく

「肩に力が入ってるぞ」

部屋に入ってきた元が、ポンポンと私の肩を叩いた

「学校は退学しない」

「知ってるよ
きちんと話し合っただろ」

「そうだけど…お母さんは…」

「子育て経験者だから、乙葉の体を心配してるんだろ?
俺は執事で、この家にいる
高校卒業までは、俺はここで毎日子育てができるんだ」

元が私の肩に手をまわして、ぎゅっと抱きしめてくれた

高校には通いたい

元の子も産みたい

それがわたしの我が儘だってわかってるけど……わかってる

いつかはきちんと見切りをつけて、子育てに専念しないといけないって

わたしは母になるんだから、母としての役目を果たさなくちゃってわかってる

「気にするなって言ってるだろ
俺が……乙葉を妊娠させたくて、避妊をしなかった
俺の責任だ
産んでくれるだけで、俺は嬉しいんだから
一人で抱え込むなよ」

「元、わたしは我が儘だ」

「違うだろ
俺が我が儘なんだ
乙葉が欲しい、結婚したい、妊娠させたい…んで、実行したんだ
だから、乙葉は気にするなよ
高校に通ってくれ
乙葉が責任を感じるな、いいな?」

元はわたしの耳元で、優しく囁いた

責任を感じなくちゃいけないんだ

わたしは親になるんだから

腹の中にいる子供の親になるんだ

だから…だから、母親にならないといけないのに

わたしはなりきれてない

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