俺様執事に全てを奪われてⅡ
午後7時

元が部屋に戻ってきた

わたしは教科書から視線を外すと、元の姿を目で追った

「これから飲みに行ってくるから」

わたしは頷く

執事用のスーツをベッドに脱ぎ捨てると、元は急いで私服に着替えている

「飲み会って何時から?」

「6時から…完全に遅刻だよ」

元が苦笑した

「平気なのか?」

「全然…さっきから携帯が震えててさ
仕事中だっていうのに、気がきかねえ奴らだよなあ」

元は軽く髪型を直して、財布と携帯をズボンのポケットに捻じ込んだ

「乙葉、体調は平気か?」

「あ、うん…大丈夫だ」

「そうか、早めに横になれよ」

元はわたしをぎゅうっと抱きしめてから、部屋を飛び出して行った

脱ぎっぱなしの元のスーツを見つめる

珍しいこともあるもんだ

片付けもせずに、出ていくなんて

相当急いでいたのだろう

元らしくない

飲み会…楽しみだったのかな?

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