俺様執事に全てを奪われてⅡ
「ああ、そう言った」

「お前、妊娠したのか?」

葛城の視線が俺の腹にいく

俺はつま先で、葛城の脛に蹴りを入れた

「…なわけねえだろ!」

「んじゃ、付き合ってる女を孕ませたのか? お前らしくないミスだな」

「違げえよ。妻が妊娠したんだ」

また三人が雄たけびのような大きな声を出す

思わず他の客の話声が一瞬止まってしまうほど、大きな叫び声だった

「うるせーよ、お前ら」

「確かに…須山が、結婚指輪をしてるよ」

葛城が、俺の手を見てきた

俺の左薬指には、ゴールドの細いリングをつけている

ナツもじっと見てから、視線をあげた

「え? あの子は?」

『あの子』って乙葉のことだろうか?

乙葉の願いもあって、俺と結婚していると知っているのは理事長以外にはない

乙葉は結婚をして、子を身ごもっている…という事実は一部の教師なら知っている

…が、ナツにはその報告が言っていないのだろう

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