さくら。
如何にも学校らしい鐘の音が鳴る。
その音に操られるように生徒たちは机の中から教科書を漁り出す。

「あ、」

そういえば俺、まだ教科書受け取ってない…
どうしようか、と少し悩んでいると、隣からおずおずと机が寄せられてきた。

「…?」

何だ?というような眼つきで隣の席の桜さん?を見る。
すると彼女は俯いていた。


「…教科書ないんだよね?一緒に、見よ…?」

「…どうも、ありがとう。」


なんかちょっとびっくりした。
だってそんなことするような子には見えなかったから。

そんなこんなで俺は教科書を見せてもらい、今日の授業は事なきことを終えた。
授業の途中で少し話をし、俺が「桜さん」と呼んだら「桜でいい」と控えめだがはっきりとした口調で言ったのには驚いた。



俺の興味の無さは、変わらないのだけど。



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