こっちむいて伏見!

そして思い出したようにお母さんは続けた。


「あ、そうそう、
具合、ええんやったらそのザンバラの髪、
切りに行っておいでや?」



「うん」


アタシは髪に手をやりながら答える。


昨日、学校から帰ってこの頭だったから、
当然お母さんもびっくりしてた。



本当のことは言えないから、
美容師になりたいって友達がいて、

ちょっと一緒にふざけてたら、
短くなってしまったって適当ないい訳したけれど。


言い訳しながら伏見とのやりとりを思い出す。


本当にアタシの気持ちって全く伝わってなかったのだろうか。

わからない。


でももういいや。

伝わってないのなら
もう一度、
振り出しに戻ったつもりで好きだって伝えよう。


伝えるんだから!


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