こっちむいて伏見!


「でも…伏見はきっとアタシが髪を切ったって全然気付かないと思いますよ?」


そう、きっと彼は突然、アタシが消えたとしても気にしないだろう。

でも、
それでも、

アタシは彼が気になる。


それってなんかずるいなあ。



「そんなこと、ないと思うけどなあ」


先輩が空を見上げて思い出すように言った。


「え?」


「伏見もなあ、
今日なんかちょっと落ち込んでたような感じ。
あんな伏見、初めて見たかも?」


先輩はそんな彼の姿を思い出したのか笑いだす。


え…、
そうなの…?


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