こっちむいて伏見!
「こっからがまたおかしいねん…」
そこまで言って先輩はこらえきれないようにさっきよりも声をあげて笑う。
な、なんか、これって伏見がコケにされてみたい?
「なにが…おかしいんですか?」
「なんか伏見ってさ、
昨日、俺が深草の髪を撫でながら抱き合ってた
って勘違いして…。
それで怒ってみたいやで?」
「は?」
先輩の言葉にアタシはぽかんとしてしまう。
「俺が問い詰めて事情聞こうと思ったら
逆にアイツから突然、
部室であんなことしててもいいんですか!
って怒ってさぁ…」
へ?
なんで?
アタシと先輩が?
「俺もそういうのって全く心当たりないって言ったんやけど。
ホラ、髪に接着剤がついて取ってやってたときに、
アイツが部屋に入ってきたやん?
そんときちゃうかな?
アイツのいた位置からはそういう風に見えた…んかな?」
あぁ、そういえば。
あのとき伏見って…。
急に怒って部屋から出て行ったっけ?