こっちむいて伏見!
きっと普段は、
電気屋のようなところばかり行っているだろう、
そんな彼のはずなのに。
こんな可愛いものが売っている店とは全く縁のない彼が、
どうやってこれを買ったのか想像したらおかしくて。
でも。
きっとこれを選んでいる間はアタシのことだけを考えてくれていたのかな
って思うとすごく嬉しかった。
アタシのために。
アタシのためだけの時間。
それはちょっとの時間だけかもしれない。
もしかしたら長い時間だったのかもしれない。
ううん、
そんなのどっちでも構わない。
ただ本当にこのバレッタを選んでいた時間だけでも、
アタシのことだけ考えてくれてたっていうことが。
そしてアタシは先輩に
「アイツもまんざらでもないと思うねんけどなぁ」
って言われたことを思い出して。
言葉を探して、
選んで、
まだ言い訳をしている彼がなんだかおかしかった。