こっちむいて伏見!
たぶん、
河原町よりもたくさんの人が歩いてるんじゃないだろうか。
それくらいにひとが多い。
前を歩くふたりの後ろ姿を見つめながら
よく出かけたりしてるのかな、
そんなことを考える。
そう言えば。
待ち合わせてからここまでアタシ、
伏見と一言も口きいてないんじゃない?
先輩は時々気遣うように
言葉をかけてくれたけれど。
伏見はアタシがここにいることが
わかってないみたいな態度。
信じられない奴。
っていうかなんとなく態度が変。
いつもならアタシの姿を見ただけで怒ったりしてたのに。
気持ち悪いほどおとなしい。
もしかしてあのときの術が解けてないとか?
いやー、
そんなことないでしょ。
アタシへの態度以外、
どこも変わった様子はないもの。