こっちむいて伏見!


『次は日本橋ー、…』


聞こえた車内アナウンスに先輩は思い出したようにカバンからメモを取りだし、
アタシに見せた。

「で、これが買い物のメモ」


「?…」


アタシは先輩の手の中にあるそのメモの内容を確認してみたが、
なんだかわからない。


メーカーの名前とか、
アルファベットとかの羅列にしか見えなかった。


「あの、?」


「深草が持っといて?」


「え?なんでアタシが…。
メモの内容がよくわかってないし…」


「俺が持ってたらさ、
なくしそうやし?」


「はあ…」


やがて、
ドアが開き、
先輩とアタシは並んで地下鉄を降りる。


振り向くと伏見は
先輩とアタシの後ろから黙ってついてきていた。


アタシにつられて先輩も振り向き、
伏見を確かめる。


「早う、行くで?」





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