こっちむいて伏見!
彼は切れてしまった電話をじっと見つめる。
「せ…先輩が…」
「?」
「…先に帰った…」
伏見はそう言ってうなだれてしまった。
「えーっ、なんでっ!
アタシ、ここって初心者でなんもわからへんのに…」
急に先に帰るってなにか用事でもあったのだろうか。
いや。
日本橋に着いた途端に帰るって普通は有り得ないでしょ…。
ホント、
何考えてんの。
ん…?
そこまで考えてふと思った。
もしかしてこれって…。
藤森先輩、
アタシのこと、
気遣ってくれてふたりにしてくれたとか?
もしそうだとしても伏見とふたりで
こんなところでどうしろって言うの。
まあ、
ふたりきりっていうのは嬉しいけど…。