こっちむいて伏見!
「ケチっ!」
「ケチで結構」
そう答えながらもやっぱり少し照れているように見えた。
普通の態度ならここまでは気にならなかったと思うけど。
「そしたらさ…」
「?…」
「アタシの都合のええように解釈させてもらうから、
ってことで。
そしたら、アタシこっから嵐電に乗換えやから…」
そう言ってベンチから立ち上がった。
どうにか機嫌よく今日を終わらせたかったし、
まだ一緒にいたかったけど仕方ない。
でも。
立ち上がるアタシに合わせて彼も立ち上がった。
「ここまできたらついでやから!」
「え?」
「俺ん家、
烏丸やけど。
でも大宮で降りてしもたから…。
だから、
ついでやから…その、
…えーっと…」
彼はアタシを見ることなく、
反対側のホームを見て戸惑うように話す。