こっちむいて伏見!


あ…。


そんな言い方されたら…、
もしかして駅まで送ってくれるのかも?

なんて期待してしまうじゃないの。



「だから?送ってくれんの?」


じれったい伏見につい、
アタシから先に言ってしまう。



彼はアタシのその言葉にびっくりして顔を赤くする。


「な、なに照れてんやさ…?」


「そんなんちゃうわっ」


さっきよりも大きな声で言った。

なに、言ってんの。

そういうのを照れてるっていうんだから。


う。

なんかこっちまで照れてしまう。


「そんな態度、止めてや。
こっちまで照れるやんか」


「は?
そんなんちゃうって言うてるやろ」


「いや、絶対に照れてる!」



アタシたちはそんなことを言い合いながら
結局はいつの間にか一緒に歩き、
地下にある四条大宮の駅から地上へとあがる。


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