こっちむいて伏見!
そして
アタシは彼が何か余計なことを言い出す前に
「んじゃまた!」
そう言って手を振って交差点を走って渡り、
反対側にある嵐電の駅へと向かった。
「あっ、おいっ!」
せっかくいい感じで1日が終わったのに。
ややこしいことはいらないから。
電車に乗ってしばらくしてから、
携帯が振動していることに気づいた。
誰だろう…。
アタシは携帯の画面を確認する。
藤森先輩…?
「2人きりのデートはどうだった?」
その文字を見たとき、
ふっと笑いがこみ上げてきた。
やっぱりね。
デートか。
電車の中は空調が
効いているはずなのに暑い。
アタシは電車の窓から暗い外をぼんやり眺めながら思っていた。