こっちむいて伏見!


ふと伏見のほうを見る。


寝不足なのか椅子にもたれてうとうとしている。


平和な奴。

アタシがこんなに悶々としてるのに。


昼休み。


藤森先輩がちょっと打ち合わせしたいから
部室に来いってことでふたり、
黙って先輩を待つ。


放課後でもいいのに、
って一瞬思ったけど、
たぶん、先輩は忙しいから。


だから
昼休みって指定しだんだろう。



「なあ、伏見?」


アタシは彼の近くに言って肩をたたきながら声をかける。


「う…うわっ…!!」


彼はアタシの呼びかけに椅子からずり落ちるくらいにびっくりする。

なによ、
そんなに驚かなくてもいいじゃないの。


「な…、なんやねんっ」


彼は椅子に座り直しながら、
ずれたメガネをかけなおす。





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