こっちむいて伏見!
「返したからねっ」
「あっ、ああ…」
「…なあ、もしかして日本橋に行ったこと忘れてるとか、
そんなことないやんなあ?」
だんだんと本当に気になってきて伏見の顔を覗き込むようにして聞く。
「あ…うん。
覚えてる…。
あのときって…オマエ…」
そこまで話して止まる伏見。
続きを待つアタシ。
「……」
「……」
早く、
続きあるんじゃないの?
「なんか…」
アタシがそこまで言いかけた時、
伏見が言った。
「…俺さ、深草のこと…」
え?なに?
そんな改められるとどきっとする。
そして彼がふと顔をあげ、
近くのアタシと目が合った途端にびっくりした表情になる。
「うわっ!!
近いっ、近すぎっ!!」
さっきとは全く違う声のトーンでアタシに言う。
「な、なんやのっ!
そんなびっくりせんでもええやんか!」
「何、言うてんねん!
近すぎんねん!
誰でもびっくりするわ!」
「なんでやさっ!」