こっちむいて伏見!



『俺はそう思ってへん!』


彼の言葉がアタシの頭ん中で何回も繰り返す。




アタシはエプロンのポケットから、
赤い縁のメガネを取り出してしばらく見つめた。



ホントかな。


そう思いながらメガネをかけてみる。



それから
そっと受付の席へ戻る伏見の方を見た。



…あ、目が合った。



でも、
目が合ったというのに肝心の彼は一瞬、
びっくりした顔をしたかと思うと

そのまま
再びアタシのほうを見ることもなく、
受付の席へ戻った。


もう…。
どっちなのよ。


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