こっちむいて伏見!
「あ。
いや、そういうんじゃなくて、
その…」
「あははっ、
無理せんでもええから。
とにかくありがとう。
さあさ、片付け、片付け…」
そう言いながら先輩はほうきを手にする。
そっか、思い出。
先輩、卒業だもんね。
なんか、
ちょっとさみしい。
アタシはゴミ袋にゴミを入れ、
少し離れたところでは伏見がテーブルを片付けていた。
先輩はほうきを持って部室のごみを集めている。
なんか、
当たり前のこの光景も
いつまでもずっと続くってわけじゃないんだ。
伏見もきっとそれがわかってたから、
気遣って
楽しかったって言ったんだろう。
「なんやねん?オマエら?疲れた?」
なにも言わず、
無言で掃除をし続ける伏見とアタシに先輩は声をかける。
「別に、なんでもないです」
伏見がぶっきらぼうに答える。
こういうところは相変わらずなんだけどね。