こっちむいて伏見!


アタシはその姿を見ながら、
このまま一緒にいたらまたなにか嫌なこと言われるかもしれない、
そう思った。


言われるのなら、
言われる前に、
何かアタシから言わないと。


これ以上傷つくのはもうたくさん。


伏見はカバンを置いた後、
パソコンの電源を入れる。


立ち上がるまでの少しの時間、
彼はアタシの方に振り向いた。


ほら、
言われる前に言わなきゃ。

早く。


「アタシ、
先輩と付き合うことにしたから」


「……」


彼は何も言わず、
椅子をくるり、
と回して再びアタシに背中を向けた。


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