こっちむいて伏見!


ウチの学校の男子はネクタイの色が学年ごとに違う。

だから見たらそのひとが何年生かすぐにわかる。


1年生はエンジ、

2年生は緑、

3年生は紫。


だから今アタシの目の前にいるひとは3年生。



「あの…、クラブに入部しようと思ってたんですけど。
先生も部長さんも誰かわからなくて…」


生徒会室にいるのだからなにかしら役員のひとだろう、
アタシはそう思ってその眠たそうな顔をしている男のひとに話しかけた。



「そんなことで安眠妨害?
もう、せっかくひとがいい気分で寝てたのに」


不快そうな声でその人は顔をしかめて答えた。



窓が開いていて風で彼の髪がなびく。


男のひとなのにサラサラの髪してる。

顔は…、近眼でよくわからないけど。


でも窮屈そうに座るその姿はきっと背が高いのだろうと
思わせた。


ま、そんなことどうでもいいや。


「あの、電脳部に、入部しようと思ったんですけど、
部長さんも、先生もわからなくて、誰か、教えて欲しいんですけど」


眠たそうな彼にゆっくりと、はっきり、と言葉を伝える。



途端に彼は

え?

っていうような顔をしてアタシを見た。


「電脳部?」



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