こっちむいて伏見!
「先輩…」
「藤森先輩…」
ふたりの間にはいつの間にか藤森先輩が入っていて、
アタシから取り上げたクッキーを食べて口を動かしていた。
「うん、美味しい。
やっぱこういうのってクラブに女の子がいるって感じでいいなあ」
「そんなことっ!」
「そうですよねっ!」
伏見とアタシ、
また同時に声を発する。
そんなアタシたちを交合に見ながら先輩は声をあげて笑う。
「ホンマ、オマエらって仲ええねんなぁ。
教室でもそんなしてじゃれあってんの?」
いや…、
じゃれてたんじゃなくて…。
アタシの作ったクッキーを全然食べてくれないから。
どうにかして食べてもらおうと頑張ってたんですけど。
はじめは昨日もちゃんと思ってたように根気よくやさしく接していこうって、
そう思ってたつもりが。
思い切り拒否られて、
それで
いつまでも食べてくれないからつい…。