こっちむいて伏見!
「わかったわ、すぐ行く」
先輩がその呼びに来たひとのほうを向いて返事をする。
「ほな、俺、戻らんとあかんし。
まあ、仲直りしとくんやで?」
そう言い残し、
呼びにきたひとと一緒に部屋を出て行った。
「……」
さっきまでの賑やかさが一転、
しんと静まり返った部室。
伏見はアタシに背を向けてまたもといたパソコンの席に戻ろうとする。
「あの…」
アタシはその彼の背中に向かって声をかける。
でも彼はアタシのほうを振り向くこともなくそのまま席につく。
返事されたとしても、
何を言えばいいかわかんなかったからよかったけど。
少しして彼はパソコンの基盤をいじり始めた。
うーん、なんとなく気まずい空気。
なんか今日はもう帰ったほうがいいかもしれないなあ。
また明日、
仕切り直しでがんばろうか。
彼の背中を見つめながら思った。
「今日、もう帰るわ…。
また明日」
そう言いながら自分の荷物をまとめて
彼の邪魔にならないようにそっと部屋を出て行った。