こっちむいて伏見!
部室の近く前やってきたとき、
ドアから漏れる灯りでまだ伏見が残っていることを理解する。
一瞬、足が止まる。
うー、行き辛いなあ。
でも
そっと、ね。
そっと。
アタシはその場からゆっくりと静かに廊下を歩き、
部室のドアのところまで進む。
ドアの窓から中の様子をうかがうと伏見の後ろ姿が見えた。
やっぱ残ってたのは彼だった。
っていうか、
部員、ほとんど彼しかいないのに当たり前。
後姿もカッコいいなあ…。
なんてうっとりする。
アタシが出ていく前から同じところにいるってことは
ずっと同じなにか、
作業をしているのだろう。
そして彼の座っている席の側にアタシの作ったクッキーが置いてあった。
せっかく作ったのになあ、
食べないのなら持って帰って弟にやろうか。
でもあそこまで近づくとアタシがいることがバレてしまう。
はあ、
そうため息ひとつついたとき。