こっちむいて伏見!
ううん、
アタシは首を左右に振って不安にならないようにする。
「…あの、先輩。
とりあえずお茶でも入れましょうか?」
先輩も先輩なりにアタシに気遣ってくれてるんだからと、
自分に言い聞かせて声をかけた。
「うん、ありがとう」
そう、答え、そして今度は伏見のほうを見て言った。
「おい、伏見は?入れてもらう?」
あ、もう、先輩、そういう、余計なこといいですから。
アタシはシッと人差し指で口を当てて、
静かにしてほしいとゼスチャーで伝えるが。
…無駄だった。
「伏見ってばあ?」
「いや…いりませんっ…!」
「彼女の入れるお茶は美味しいのになぁ」
いたたまれなくなったのか伏見は急に立ち上がる。
「あの、ちょっと技術室行って接着剤借りてきます」
そう言って部屋から出て行った。
ほら、こうなるんだから。
先輩、いつも伏見の女子への態度ってこんなんなんですよ?
わかってます?
そう言う気力もなかった。