こっちむいて伏見!

えーっと。

焦る。

「あのっ、アタシ、アンタのこと好きになったんでヨロシク。
そやから名前教えて?」


咄嗟に出たとんでもない言葉に自分でもびっくりする。

でもま、いっか。


しかし彼はそのアタシの言葉に全く動じることもなかった。


「はぁ?」


「そやから、…名前」


「なにアホなこと…」



彼は頭をかきながらそれだけ言い残し、

離れて行った。



は?
なんなの、あの態度。

でも絶対に振り向かせてやるんだから。



彼の背中を見つめながらそう思った。





…あ!
そうだ、急がないと。

アタシは新しい教室へ急ぐ。


初日から遅刻にされちゃ気分悪いもの。




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