こっちむいて伏見!
「ほら、いわんこっちゃない…」
先輩が半分笑いながら、
呆れて言う。
「はぁ…、すみません…」
服の袖に飛んだ接着剤に気づかず、
アタシはそのまま、
手を髪に当てながら謝る。
が。
「あ…あれ…?」
横目でなんとなく髪が気になったものの。
ん?
どうなってんの?
髪が束ねられた…ような…?
「あれ?深草?」
「あー接着剤が髪に…」
アタシの髪の異変に気づいた先輩と同時に言葉を発する。
指でその部分をつまんで確かめ、
泣きそうになる。
服に着いた接着剤に気づかずそのまま髪にあたってしまい、
ちょうど耳から肩にかけての辺りの髪が固まってしまったようだった。
「うわ…、先輩…、これ…取れますかね…?」
泣きそうになりながら先輩に聞いた。
「うーん…、
アセトン使ったら取れるかもしれへんけど。
でも髪が傷むかもしれへんし…」
そう言いながら先輩は
アタシの方へ近づいて髪を手に取った。