眠れぬ森
1章 私たち
寝るのがもったいないくらいの

気持ちのいい風が窓から入ってきた。

真っ暗な窓の向こうには、白銀に輝く月がぼんやりと周囲を照らしている。

夏も終わり、もうすぐ私の好きな秋がやってくる。


ふいに携帯が鳴った。

時計を見る。

もう午前0時を回っていた。


こんな遅い時間に誰?

携帯に耳を当てる。


「まだ起きてた?」


その人は、少し笑って言った。


「起きてたけど。」

「起きてたけど?」

「どうして反復するの?」

「別に。」


その人はからからと笑った。

私もその人に聞こえないようにして笑った。
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