眠れぬ森
11章 父親
翌朝、ハルキは私をマンションの前まで送ってくれた。

「じゃ、また。」

「うん、また。」

いつ会えるの?なんて野暮なことはお互い聞かない。

だって、今度いつ会えるかなんて、わからない。

ハルキと私のタイミングが会うその日まで。

そして、次会う時が来るのか来ないのかすら、本当はわからない。

だけど、会いたい気持ちは、同じ。

いつか会えると信じて別れる。

遠ざかっていく、ハルキの車を見送りながら、ぼんやりとそんなことを思った。


腕時計を見ると、まだ朝の6時。

これだけ朝早いと、同じマンションの住人にも知られずに家に帰ることができる。

ハルキは、何も言わないけれど、そんな私への配慮はさりげなくしてくれていた。

私が傷つかないように。

そして、タクミが気付かないように。
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