眠れぬ森
12章 喪失
そして。



あれは、何時頃だったんだろ。

日が昇って、そして、また暮れていく頃?

ふいに家の電話が鳴った。

また何かのセールスかと思って、無愛想な声で出る。


電話の向こうで誰かが声を押し殺して泣いてる。

誰?

「あの、どちら様でしょう?」

いたずら電話かもしれない。

少し高めのトーンで言った。

「わ、私。ミズキ・・・です。」

ミズキちゃん??


昨晩のことがよみがえる。

ハルキの優しい眼差し。

温かい手のひら。

電話の向こうでミズキちゃんと繋がっていることに、自分自身への嫌悪感。


でも、どうして泣いてるの?
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