眠れぬ森
もう一度、やかんにお湯をわかして、熱々の紅茶を入れる。

そして、冷めないうちに口にふくんだ。

「あつっ。」

思わず声が漏れる。

熱いのがわかっているのに、熱いのが好き。

どうしてわかっているのにやめられないのか。

時々そんな自分がいやになる。


だけど、そんな自分を愛してくれたタクミがいたから、なんとなくここまでやってこれたんだよね。


なのに、私は平気でタクミを裏切った。


これは、決して許されることではないとわかっていて。



ミズキちゃんは、私にも「償い」を求めていたのかもしれない。

タクミに。


そのことも、ずっと気になっていた。

どこで伝えようか迷っていた。


でも、今はっきりと決めた。

タクミにきちんと告げよう。

そして。

別れよう。


これ以上、タクミを傷つけたくない。

これ以上、タクミに甘えていられるわけもない。
< 138 / 152 >

この作品をシェア

pagetop