眠れぬ森
これから先のことなんて、今は考えない。

ただ、この幸せな時を幸せに感じて生きていたいって思う。


ハルキやタクミを忘れたことは一度だってない。

二人がいたから、今の自分がある。

だからこそ、今が楽しい。


授業の終わりを告げる鐘が鳴った。

「ミク、さぁ行こう。」

ドニーは、大げさなくらいにはしゃいで私の手をにぎった。

ほんと、子供みたい。

そんなドニーを見ていつも笑ってしまう。

私たちは森まで手をつないで走った。

三十にもなろう大人が、ランチボックスを腕にかけて、手をつないで森へ向かって走るなんて。

そんな姿に笑っちゃう。


少し小高い場所でランチボックスを広げて、たわいもない会話を楽しみながら二人で食べた。

そして、食べ終わったらドニーの腕を枕にしてまどろむ。

明るい日差しが私たちを暖かく照らしている。

ドニーは、静かに言った。

「愛してるよ、ミク。」

「私もよ、ドニー。」
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