眠れぬ森
「今日の朝方、兄貴から電話があって。時差があるから、わざわざミクさんを起すのもなんだって、俺が叩き起こされちまったわけですが。」

「うん、それで?」

とにかく、本題が知りたい私。

「ミクさんの仮押さえしてるウエディングドレスなんですが、今日中に決めないと別の方が本予約入れそうなんだとか。だから、今日決めてくれって。」

「え、まじで?仮押さえしてるドレス、まだしばらくは押さえてていいって話だったと思うんだけど。」

「それが、急にその日披露宴上げる人が増えたらしくて、ドレスの争奪戦になってるようで。で、兄貴のメールに慌てて式場のマネージャーさんから連絡が入ったそうです。」

そういうことか。

そう、タクミが全て取り仕切ってくれてるんだよね。

忙しいはずなのに。

っていうか、肝心の私の家には電話というものが存在しないわけで。

携帯番号なんて、赤の他人にどんなことがあったって教えたくないし。

結局、色んな連絡は、タクミのPCメールに送られてくることになってる。

ハルキが足に使われたわけだ。
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