眠れぬ森
「いえ、彼は旦那になる相手の弟なんですよ。」

「あら、そうでしたか!申し訳ございません。」

「別に構いませんよ。でも、どう見たってかなり年下でしょう?」

「ミクさんはおきれいでお若く見えるから、そんな年下だなんて思いませんでしたよ。」

アシスタントは、明らかに動揺して、お世辞以上のことを言ってしまったようだ。

んなわけないだろ。

私より5歳も下なんだからハルキは。


ま、そんなことはどうだっていい。

私は早く3着を着て、1点を決めなくてはならないんだから。


そして、2着目。

最後に、取り置きしてくれてあった新作を着せてもらった。


新作は、やはり布の張りが違う。

そして、色も艶やかで美しかった。

私の好みもわかってきたのか、デザインもなかなかいい感じ。


鏡の向こうにいたハルキに聞いた。

「どう?率直な意見が聞きたいんだけど。」

ハルキは少し目をしばたいて、頭をポリポリかいた。

「俺、どれもミクさんにすごく似合ってきれいだと思うよ。」

はぁ。

通り一遍の返答。

これだから男って、役に立たない。

「でも・・・。」

でも?
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