眠れぬ森
4章 一線
「家に上げてくれたってことは、俺泊まってってもいいってこと?」

「ハルキくんがさっき言ったように、私に失礼なことをしなければね。」

「しないよ。きちんと愛する。」

「ばかじゃない。」

「何が?いい加減な気持ちで言ってない。」

「よーく考えてみて。私はもうすぐあなたのお兄さんと結婚するの。」

「だから?」

「そして、あなたとは、まだ二回しか会ったことない。」

「会った回数なんて問題じゃない。」

「あなただって、結婚しようと思ってる女性がいるでしょ?もしその相手がこんな風になっちゃってたらどう思う?」

ハルキは一瞬だまった。

「今は、そんなことどうだっていい。そうなって関係が壊れたら、それも運命じゃないの?」

「さっきから運命運命って。全てを運命のせいにするのは間違ってる。」

その時、ハルキは私を抱き締めてきた。

「ミクさんは、さっきからなんだかんだ言って時間かせぎしてるだけ。本当は俺に惹かれてる。間違いないでしょ?」

ハルキの腕の中はとても温かかった。

そして、その体温は心地よかった。

ハルキの言ってること、間違ってない。

私は、ハルキをあの居酒屋に誘った時から、こうなることを期待していたように思う。

でも、こんなことって許されること?
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