眠れぬ森
ソファーの横にかけたままのワンピースを頭からかぶる。

「朝ご飯、簡単に作るけど食べて帰る?」

ハルキは白いTシャツをかぶって、顔だけ出した。

「迷惑じゃなきゃ。」

そして、腕を通して、私を見て笑った。

「ここまで来て、迷惑かどうかなんて、気にする方が変じゃない?」

「ほんと、今更だよね。」

私は苦笑して、キッチンへ向かった。


しょうがない奴。

でも、悔しいけど憎めないハルキ。


トーストを焼いてバターなしで苺ジャムを塗る。

そして、ホットミルクティー。

二人分をテーブルに並べた。

ハルキは椅子に座って、まじまじとそんな朝食を眺める。

「シンプルだね。」

「うまい言い方だわね。」

そして、顔を見合わせて笑った。

久しぶりに、気持ちが踊る朝食を食べた。

タクミも何度か泊まったことあったけど、「ミクに朝食作らせるの悪いから」って、いつも外に食べに行ってたっけ。

ハルキとタクミは兄弟なのに、全然似てない。

< 38 / 152 >

この作品をシェア

pagetop